起業や新規事業を立ち上げる際、多くの人が悩むのがオフィスをどうするかという問題です。
「やっぱり実際のオフィスを借りるべきか」「それともバーチャルオフィスで十分なのか」――この選択は、事業の初期費用やランニングコストに大きく影響します。
今回は、賃貸オフィスとバーチャルオフィスのコストを徹底的に比較し、それぞれのメリット・デメリットを明らかにしていきます。
あなたのビジネスに最適な選択肢を見つけるヒントにしてください。
賃貸オフィスとバーチャルオフィスの基本的な違い
まず、両者の基本的な違いを整理しておきましょう。
賃貸オフィスは、実際の物理的な空間を借りる従来型のオフィス形態です。専有スペースがあり、デスクや会議室などを自由に使うことができます。
一方、バーチャルオフィスは物理的なスペースを持たず、ビジネス用の住所や電話番号だけを借りるサービスです。実際にそこで作業をするわけではなく、法人登記や名刺に記載する住所として利用します。
初期費用の比較
それでは、具体的なコストを見ていきましょう。まずは初期費用からです。
賃貸オフィスの初期費用
賃貸オフィスを借りる場合、初期費用は非常に高額になります。
賃貸オフィスの初期費用内訳
| 項目 | 相場 | 備考 |
|---|---|---|
| 敷金 | 家賃の3〜6ヶ月分 | 事業用は住宅より高め |
| 礼金 | 家賃の1〜2ヶ月分 | 物件により異なる |
| 仲介手数料 | 家賃の1ヶ月分 | 不動産会社への支払い |
| 前家賃 | 家賃の1〜2ヶ月分 | 当月分+翌月分 |
| 保証料 | 家賃の0.5〜1ヶ月分 | 保証会社利用の場合 |
| 内装工事費 | 50万円〜300万円 | 規模や仕様により変動 |
| 家具・備品 | 30万円〜100万円 | デスク、椅子、棚など |
| インターネット工事 | 3万円〜10万円 | 回線工事費用 |
例えば、都内で家賃15万円の小規模オフィスを借りる場合、初期費用だけで150万円〜250万円程度が必要になります。
バーチャルオフィスの初期費用
一方、バーチャルオフィスの初期費用は非常に抑えられます。
バーチャルオフィスの初期費用内訳
| 項目 | 相場 | 備考 |
|---|---|---|
| 入会金 | 0円〜3万円 | キャンペーンで無料も |
| 保証金(デポジット) | 0円〜3万円 | 解約時に返金されることが多い |
| 初月利用料 | 3,000円〜1万円 | プランにより異なる |
バーチャルオフィスの初期費用は、高くても5万円程度で済むことがほとんどです。キャンペーン期間中であれば、入会金無料で数千円から始められるケースも少なくありません。
ランニングコストの比較
次に、毎月かかる固定費を比較してみましょう。
賃貸オフィスのランニングコスト
賃貸オフィスでは、家賃以外にも様々な費用が継続的に発生します。
賃貸オフィスの月額ランニングコスト
| 項目 | 相場(月額) | 備考 |
|---|---|---|
| 家賃 | 10万円〜50万円 | 立地・広さにより大きく変動 |
| 管理費・共益費 | 家賃の10〜20% | 1万円〜10万円 |
| 水道光熱費 | 1万円〜3万円 | 使用量により変動 |
| インターネット代 | 5,000円〜1万円 | 法人向けプラン |
| 電話代 | 5,000円〜2万円 | 固定電話+携帯 |
| 清掃費 | 0円〜3万円 | 外部委託する場合 |
| セキュリティ費 | 0円〜2万円 | 警備会社契約の場合 |
| 消耗品費 | 5,000円〜2万円 | トイレットペーパー、文具など |
都内の小規模オフィス(15〜20坪程度)を想定すると、月額15万円〜30万円のランニングコストが発生します。
年間で計算すると、180万円〜360万円という大きな固定費になります。
バーチャルオフィスのランニングコスト
バーチャルオフィスのランニングコストはシンプルで、大幅に抑えられます。
バーチャルオフィスの月額ランニングコスト
| 項目 | 相場(月額) | 備考 |
|---|---|---|
| 基本料金 | 3,000円〜1万円 | 住所利用のみのプラン |
| 郵便物転送費 | 0円〜3,000円 | 転送頻度により変動 |
| 電話転送・代行(オプション) | 3,000円〜1万円 | 必要な場合のみ |
| 会議室利用料 | 0円〜2万円 | 使った分だけ支払い |
最もベーシックなプランであれば、月額3,000円〜5,000円程度で利用できます。
電話代行などのオプションを追加しても、月額1万円〜2万円程度で収まることがほとんどです。
年間で計算すると、3.6万円〜24万円という低コストで事業所住所を確保できます。
確保はこちらでできます。
3年間の総コスト比較
初期費用とランニングコストを合わせて、3年間でどれだけの差が出るのか見てみましょう。
3年間の総コスト比較表
| 項目 | 賃貸オフィス | バーチャルオフィス |
|---|---|---|
| 初期費用 | 150万円〜250万円 | 3万円〜5万円 |
| ランニングコスト(3年) | 540万円〜1,080万円 | 10.8万円〜72万円 |
| 総額 | 690万円〜1,330万円 | 13.8万円〜77万円 |
この差は歴然としています。バーチャルオフィスを選択することで、3年間で約700万円〜1,300万円のコスト削減が可能になります。
それぞれのメリット・デメリット
コストだけで判断するのは危険です。それぞれのメリットとデメリットを理解した上で選択しましょう。
賃貸オフィスのメリット
- 専有スペースがある: いつでも自由に使える作業場所
- 信頼性が高い: 実在するオフィスとして取引先に安心感を与える
- チームワークの構築: スタッフが集まって働ける
- 来客対応が可能: クライアントを直接招くことができる
- 荷物の保管: 在庫や資料を保管できる
賃貸オフィスのデメリット
- 初期費用が高額: 数百万円の資金が必要
- 固定費が重い: 売上に関わらず毎月大きな支出
- 柔軟性に欠ける: 事業規模の変化に対応しにくい
- 維持管理の手間: 清掃や設備管理が必要
バーチャルオフィスのメリット
- 圧倒的な低コスト: 初期費用・ランニングコストともに安い
- すぐに利用開始: 契約から数日で住所が使える
- 柔軟な働き方: リモートワークやノマドワークに最適
- 都心一等地の住所: ブランド力のある住所が使える
- リスクが少ない: 事業が軌道に乗るまで固定費を抑えられる
バーチャルオフィスのデメリット
- 物理的スペースがない: 作業場所は別途確保が必要
- 来客対応ができない: 基本的に会議室は別料金
- 業種によっては利用不可: 許認可が必要な業種では使えないケースも
- 信頼性への懸念: 一部の取引先から不信感を持たれることも
どちらを選ぶべきか?判断基準
では、どのような基準で選べば良いのでしょうか。
バーチャルオフィスが向いているケース
- ネットショップやオンラインサービスなど、ネット完結型ビジネス
- フリーランスや一人起業家
- 初期投資を抑えたいスタートアップ
- リモートワーク中心の働き方をしたい
- 複数拠点を持ちたいが、それぞれに実オフィスは不要
- まずは小さく始めて様子を見たい
賃貸オフィスが向いているケース
- 常時複数人のスタッフが勤務する
- 在庫や機材の保管が必要
- 頻繁に来客がある
- 対面での打ち合わせが多い
- 許認可上、実オフィスが必要な業種
- 会社の規模や信頼性を重視する業界
中間の選択肢も検討する
実は、完全に二者択一である必要はありません。以下のような中間的な選択肢も存在します。
コワーキングスペース: バーチャルオフィスより高いが賃貸オフィスより安く、必要な時だけ作業スペースを使える
シェアオフィス: 複数の企業が共同でオフィスを使用し、コストを抑える
レンタルオフィス: 家具付きの小規模オフィスを短期契約で借りる
これらは初期費用や固定費を抑えながら、物理的なスペースも確保できる現実的な選択肢です。
まとめ:自分の事業フェーズに合った選択を
賃貸オフィスとバーチャルオフィスでは、コスト面で年間150万円〜350万円以上の差が生まれます。この差は、特に起業初期において非常に大きな意味を持ちます。
しかし、安いからといって安易にバーチャルオフィスを選ぶのではなく、自分のビジネスモデル、働き方、将来の展望をしっかり考慮した上で判断することが重要です。
多くの成功している起業家は、最初はバーチャルオフィスやコワーキングスペースでスタートし、事業が軌道に乗ってから実オフィスへ移行しています。固定費を抑えながら事業を成長させ、本当に必要になったタイミングでオフィスを構える――これが賢明な戦略と言えるでしょう。
あなたの事業フェーズと資金状況に合わせて、最適な選択をしてください。
